安西の地に法塔復興


平成21年11月16日 福岡県太宰府市、宝満山中腹において六所宝塔の開眼法要が行われました。


その昔、伝教大師最澄が日本の国家安泰・仏法興隆を祈念し日本全国に六ヶ所の宝塔を建立して約1200年の歳月が経ちました。そして今日、九州の地を治める安西宝塔があったとされる場所を断定する研究が実を結び、天台宗務庁ならびに天台宗九州西教区による再興事業が円成致しました。


法要当日は時折小雨の降る生憎の空模様でしたが、九州西教区宗務所長甘井亮淳師の導師のもと、天台宗宗務総長濱中光礼師、宗議会議長栢木寛照師並びに教区内の住職等10数名が御出仕され除幕式、開眼法要、記念式典が行われました。

式典にあたり、半田孝淳天台座主猊下御執筆の宝塔記念碑の前で御祝辞を述べられた比叡山延暦寺執行武覚超師は、宝塔の歴史や伝教大師がこの地宝満山へ至るまでの経緯を詳しくご説明され、全国よりお集まり頂いた宗議会議員の御来賓、また今回の宝塔竣工に御尽力を頂いた工事関係者や地元住民の方々も熱心に聞き入られている様子でした。

この開眼法要は地元テレビ局も取材に来ており後日北部九州地区のニュースとして取り上げられましたが、宝塔の再建された場所は宝満山の程なく奥地にあり、舗装はされているものの車1台がやっと通れる程度の道幅しかなく、およそ一般の観光客が立ち寄れる史跡であるとは言い難いのが現状であります。

すぐ近所には太宰府天満宮、竈神社という観光名所があるという地理的条件には恵まれていることもあり、今後太宰府市は歴史的意義の高いあたらしい観光の目玉として整備事業を進めていくことを示唆しています。管理する天台宗九州西教区も、祖師の根本理念ともいえるこの宝塔を今後いかに宗のシンボルとして事業を展開していくか話し合いがなされている次第です。

しかしながら、教区内百数十カ寺住職の思いが込められた写経「妙法蓮華経一巻」を収めた宝塔が、行く先きの見えない不況や様々な社会問題という暗い影をおとす現在の日本社会に、一筋の光明を照らす礎として時代を超えて今日に復興されたことは大変喜ばしいことであります。国民の安心できる生活、世界の平和を願う仏日増暉の思いが、今後未来永劫にわたりこの宝塔ともに後世に伝えられていくことを祈念いたします。

記事:一番ヶ瀬順海