霊気ただよう自然にかこまれた山寺
御本尊
毘沙門天(秘仏)前立御本尊毘沙門天吉祥天女・禅尼子童子
ご詠歌
大海の広き心に漕ぎ寄るや七福神の宝入り船
寺宝
釈栴檀の名木で刻んだ平安時代作の毘沙門天像。火難のため左腕を失い全身火傷に覆れている。本堂改築を機に十二年毎(寅年)のご開帳となる。秘仏である。
年中行事
護摩祈願祭毎月三日・施餓鬼供養祭毎月一七日・採燈護摩・火渡り神事祭・星まつり・花まつり・貝島炭礦物故者慰霊祭・平和交流コンサート・赤穂浪士供養祭
縁起
延喜年間(九〇一~九二三年)に醍醐天皇勅命により僧行基が創建。福岡県宮田町南端、日陽山山頂に普光寺はある。七堂伽藍を配したが野火により延宝六年の再建で毘沙門堂のみ残った。平成十二年より本堂始め、各種の増改築を行う。境内に五重塔、聖観音、不動明王、六地蔵、十三仏、七福神像を配し本堂脇に安倍晴明の池がある。陰陽師安倍晴明が普光寺を訪れた際、水に難儀する村人の為池に印を込めた石を沈め祈願した。それ以来枯渇なく雨包いに霊験ありとの伝説を持つ。御本尊の毘沙門天様は福運招来、厄除祈願で信仰厚く毎月三日は護摩祈願で賑わう。桜、紫陽花、紅葉を始め四季折々に花が咲き誇る。静寂と霊気の中で自己を見つめ生きる活力を見い出す、心和む寺、癒しの寺。
交通アクセス
JR小竹駅下車国鉄バス・宮田行、菅牟田下車いずれも下車後車で一〇分
住職の閑話
伝教大師様は「己の事は忘れ人のために尽くせ、又社会の中で日々努力する人こそ国の宝である」といわれた。その教えを実践すべく布教活動を行っている。今日、世界は平和とは逆方向へ向い、幾多の尊い命が犠牲になっている。仏教はあらゆる命を尊ぶ。命を育む運動として「なくそういじめ・差別・エイズ」と題し、平和交流コンサートを開き多くの賛同を得た。かって宮田町には筑豊炭田があり、日本を支えてきた石炭産業の歴史がある。日本が必要とする半分以上の石炭を供給し続けたが、一方で多数の犠牲者を出した。ガス爆発で亡くなった引きとり手のない鉱夫二百数拾名の無縁仏がある。去年より普光寺が供養を引き受け春秋に供養祭を執行している。今日、自分があるのはご先祖様のお陰で、合掌することで御仏と一体になれる。仏教は生きる道しるべ、心の寄り拠であり、生活の場で力一杯命の花を咲かせてほしいと念じる。